ロングランエッセイ

Vol.73 お日様のエネルギー

URB HOUSE PHOTO

 去年のクリスマスに、電気会社に勤める友人からとても嬉しいプレゼントをもらった。クリスマスプレゼントで、こんなに喜んだのは久しぶりである。正月に顔を合わせたときに、もうひとつ欲しいと頼んだら、「丁度、送り返されてきたのがあるから」といって、さっそく翌日に若い人が持ってきてくれた。日当たりの良い窓ガラスに取り付ける、小さな太陽電池の付いた光の風鈴のようなもので、お日様の光でモーターが回り、いくつかの歯車を通して、ぶら下がっているクリスタルグラスが、回転する仕掛けである。
 フレームが透明なので、きれいに色分けされた歯車が回っているのが見える。このクリスタルグラスが回転し始めると、多面体のなかで屈折した光が、ミラーボールのように床や壁や天井を移動していく。光が強いと回転は速くなり、光が弱いと回転がゆっくりになるので、お日様の強弱が感じられて、お日様と話しているような気になる。いつも勢いよく回ってくれるわけではないが、虹色の光が部屋を走り回ることもあるので、お日様の強い日は楽しみが増える。あんなに遠いところにある、お日様のエネルギーを実感することができる。
 住宅についてもエコポイントを設けるというが、ぜひ、これもエコポイントがもらえるようにして欲しい。確かに、環境に優しい電気製品や車を買うことでエコポイントを利用するのと同じように、環境に優しい住宅や機器・器具でエコポイントをもらって、省エネルギーを計り、家計を助けるのも大事である。しかし、子どもたちがお日様のエネルギーを目で見て、自然の中にこんなに美しいことが埋まっていることに驚いて、移動する虹色の光に感激すれば、自らお日様のことを考え、環境のことを考え、地球の未来を考えるに違いないと思う。大人でさえ、思わずにっこりするくらいだから、一家に一台あっても良いと思う。

住宅雑誌リプラン・88号より転載



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