ロングランエッセイ

Vol.97 木骨ブロック造

URB HOUSE PHOTO

 北海道特産の軽量コンクリートブロックの素朴な感じが大好きである。五十年前には、ブロック住宅だけが公的な融資を受けられたので、新しい住宅地には三角屋根のブロック住宅が、整然と並んでいて日本離れした風景だった。その後、木造住宅が公的な融資を受けられるようになると、間取りをそのまま建てるような安易な木造の家が増え、札幌の街並みはすっかり乱れた。そのままブロック住宅だけに限って融資を続けていれば、イタリアの山岳都市や田舎街のようなメーソンリー(※)な街並みが出来たのに、と思う。
 そこで、軽量コンクリートブロックの持つ素朴な風合いを知らせたいと木造住宅の外壁にブロックを積んだ。木造住宅の断熱の外側には空気層が必要であるが、自立して組積できるブロックの壁は防火と耐久性に優れ、メンテナンスフリーに近い。小樽の倉庫群は、木造の外側に軟石を張った「木骨石造」と呼ぶ。明治のそれに変わって、木造の外側にブロックを積んだ「木骨ブロック造」の住宅を造った。北海道にこのような家が建ち並べば、夢に見たメーソンリーな街並みが生まれるに違いない。

※メーソンリー/組積式構造のこと

住宅雑誌リプラン・112号より転載


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