Essay by Maruyama/連載エッセイ

vol.50「札幌スタイル・デザインギャラリー」
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 この四月二十八日(2004年)に、札幌市が運営する「札幌スタイル・デザインギャラリー」がオープンした。小さな正方形のパンフレットは、爽やかな春の空を思わせる青色で、なかに繊細な白で雪の結晶が描かれていて美しい。誰もが欲しくなる。「札幌スタイル」のキーワード(ゆったり)(もてなし)(遊びごころ)をあらわしている、この美しいパンフレットを街じゅうに配布して、一気に「札幌スタイル」を印象づけることが、この運動のもっとも大事なことだと思う。
 このギャラリーでは、誰もが欲しくなるような優れたデザインの商品を紹介してゆくという。それも札幌に関連して生まれた、これらの優れた商品を「札幌ブランド」として全国に広め、さらには世界にまで広めていこうという壮大な構想だという。確かに、今は、一人一人の暮らしを大切にする時代になって、ますます質の高い豊かな暮らしが求められ、電気製品をはじめとして、優れたデザインの家具や器やその他の生活用品が、評判になるようになってきている。このような風潮の中で、優れたデザインの商品をきちんと選定し、上手に紹介していけば「札幌ブランド」も夢ではない。
 オープンした「札幌スタイル・デザインギャラリー」には、札幌に関連して生まれた、デザインセンスの良い商品をいくつか紹介しているが、ここに並べられたものに囲まれていると、なぜか爽やかさを感じる。デザインの優れているものに囲まれた暮らしは、きっと同じような、もっと広がりのある爽やかさを感じるに違いない。  部屋に置く調度品についても建築家が強く執着するのは、調度品や日用品のデザインの質が、創った空間の質を大きく変える可能性があるからである。

住宅雑誌リプラン・65号より転載
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